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2013
03.30

うた恋い。3 和歌物語四

Category: 古典もの
今日の一冊:超訳百人一首 うた恋い。3

和歌物語三

久々にうた恋のことを書こうと思います。
和歌物語三は、百人一首に出てくる清少納言の有名な歌が詠まれたシーンのお話で、
うた恋い。3のヒロイン清少納言と、もう一人のメインキャラ藤原行成が、
信頼関係を深めつつ、恋の様相を少し現し始めるというストーリーです。

枕草子では少納言のすごく仲の良い親友としてたくさん登場したらしい行成様。
これまでに何度か出てきた義孝様の息子ということで、
期待大だったにも関わらず、宮廷人としては無粋な行成様ですが、
不器用なところも一途なところも、すごくいいのに、
当時の宮廷ではそういうのってもてないようそだったようですね~。

ネタバレの中身はいつものように続きを読む、からどうぞ。

本の紹介と、ほかの話へのリンクのページはこちら↓
うた恋い。3 全体感想


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夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ
                              <清少納言>

蔵人の頭着任当初は、義孝の息子ということで女房たちの期待を集めた行成だったが、
少納言以外には、簡単なことづてさへ頼まず、人付き合いが悪かったこともあり、
女房たちには散々な評判となっていた。
友人として、ほかの女房とも仲良くする努力をするよう勧める少納言に、
行成は、広く浅くというのは苦手で、今後も用事は少納言にしか頼む気はないと言う。

真摯な行成の言葉に、気持ちはよくわかると言いながら、
公私は分けて、臨機応変に対処すべきとさらにいう少納言。
友人としての助言であれば面と向かって言って欲しいと切り返す行成に、
今更顔を見せるのも気恥ずかしいこともあり、最後はもういいと折れてしまった。

周りに非常識と言われるほどに清少納言との関係だけを大切にしているのに、
いつまでもよそよそしく、顔さえ見せない清少納言に、
距離を詰めかねている行成の気持ちをわかりつつ、
これ以上関係を深めるのにためらいを感じる清少納言は、
いつもどこかで一線を引いていた。

というのも、清少納言が仕える中宮定子は、
行成の父の親友であり、従兄でもあった関白だった藤原道隆の娘で、
道隆の死後、兄の不始末もあり、一家は没落の一途を辿っていた。
権勢は中の関白家と呼ばれていた道隆の一族から、弟の道長の一族へと移り、
行成はその道長の腹心として出世の道を歩み始めたばかり。

帝の寵愛だけを盾に、一族のすべてを背負う定子に仕える少納言にとって、
友人とはいえ、いつ敵となるかわからないのが行成の立場だったのだ。

行成に清少納言を紹介し、仲良くしておけと言っていた上司の斉信にもけしかけられ、
清少納言との一線を引かれた関係を乗り越えようと、行成が次の日に少納言に文を送る。

「今朝はたいへん心残りです。
 夜通し昔話などするつもりだったのに、一番鶏に急かされて。」

実際には宿直のために、夜のうちに少納言の局を去っていたのにと、
笑いながらも少納言も文を返した。

「夜に鳴く鶏など聞いたことがありませんが。。。
 そういえば遠くは唐土にそんな鶏もおりました。
 斉(せい)の孟嘗君(もうしょうくん)は、
 朝にならねば開かぬ関所をいかにして開かせようか策を弄して、
 鶏の声真似で関守をだましたとか。
 あなたを急かした鶏の声はおそらく偽モノでしょう。」

中国の歴史書史記の故事を踏まえた返事に感心しつつ、
行成が返した文には、清少納言の心を揺らすものだった。

「なるほど孟嘗君が鶏の声真似で開かせたのは函谷関(かんこくかん)ですが、
 もし同じ方法で開きたい関があるとすれば、
 それはあなたと私を隔てる恋の関ではないでしょうか。」

行成がこんな冗談を言うとは思えない気がしつつも、
本気だと認めることもできない少納言は、
きっと宿直所で誰かにけしかけられたのだろうと考え(←あたっている!)、
中宮付女房として恥ずかしくないよう、と、和歌で返事をしたためた。

「夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも 世に逢坂の 関はゆるさじ」 

 あなたの嘘で開ける恋の関ではありませんよ。
 あいにく私は守りが堅いの。

つれない返事に対しての行成の返歌は、

「逢坂は 人越え易き 関なれば 鳥鳴かぬにも あけて待つとか」

 守りが堅い?
 あなたは誰にでも体を開くからチョロイって皆言ってますよ。

という痛烈なものだった。
あまりに失礼な返事に、返歌さえ出さなかった少納言の元に、行成がやってきた。

自分がこうして少納言と格別に親しくしているのは魂胆があってのことではなく、
立場が大分違ってもそういった隔ても越えて、
きっと少納言とは仲良くなれる、いや仲良くしたいと思っていたというのに、
少納言はそう思っていないのかな、と思うと、
失礼な歌を返してしまった、という。

「立場が違うと分かっていらっしゃるなら私にそこまで思い入れないほうが。。。」
「あなたは状況次第でそれまでの友情も覆すのですか。」
「・・・そんな人間になりたくはありませんけど、
 現実には立場の違いも越えて思い続けたり、信じ続けたりすることは
 ・・・難しいことですもの。」
「・・・そうですね。
 それでも、俺は信じて貫こうとする何かがない人生は死んだも同然と思う。」

兄と末の松山との恋の結末のこともありつつも、
父と同じことを言わんとする行成の言葉に心を動かされる少納言。
若さゆえの実直さとも思いつつ、それを信じてみたいと思うほどに、行成に惹かれていた。

「・・・そうまで言われたら私も覚悟を決めなくてはね。
 恋の関は許しません。
 でも、心の関ならいつでも開いてさしあげますよ。」

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