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2012
11.18

うた恋い。 和歌物語二(ネタバレあり)

Category: 古典もの
今日の一冊:超訳百人一首 うた恋い。(本棚から)

和歌物語 二
<<ネタバレです>>



「筑波嶺の みねより落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる」
                          <陽成院>

幼いときに天皇となり、若くして退位した陽成院(ようぜいいん)。
和歌物語一に出てきた高子の息子で、名前は貞明(さだあきら)。
正妻の綏子(やすこ)は、いつも貞明を暖かく迎えてくれるのに、
貞明は、どうせ政略結婚で、綏子も嫌々なのだろうと、
ひねくれた態度しか取れない。
綏子の暖かい笑顔に安らぎを覚えるようになっているのに、
それよりも恐れが勝る貞明はつい。。。

貞明「綏子、お前、男でも作れよ」
綏子「え?」
貞明「それとももういるのか?いっつもヘラヘラ笑って悩みもなさそうだが、
   誰に愚痴を聞いてもらっているのかな。」

驚く綏子に、貞明はさらに続ける。
自分のような粗暴者の相手をして一生を終えるのが哀れで、
気にしないから、好きに相手を探せと。

貞明は、これまでの自分に対するうわさにひどく傷つき、
本当の自分を分かってくれる人などいない。綏子も同じと思っている。

綏子「浮気をすすめられようとは思いませんでした。」
貞明「なんだよ、君の後々を考えて気遣ってやっているのに。
   君がそうであるように、私だって、
   君のことが好きで結婚したんじゃないからね。
   皆そうだよ。父上だって母上だって。
   お互い様と思って好き放題やっているのさ。」
綏子「周りがそうであるから、自分もそれが許されるとは思いません。」

貞明「そう?君だって女らしく恋の一つもしてみたいだろう?」
綏子 はい。あなたと。 

貞明「・・・君は私が嫌いだろう。」
綏子「ええ、好きではありません。が、妹背になったのですから、
   観念してあなたに恋をいたします。
   望まぬ結婚を強いられたからと、浮気に走るのは現実逃避です。
   目の前の伴侶から逃げるのではなく、私はその方を好きになる努力をしたい。」
貞明は驚いたような顔で、黙って綏子を見つめている。
綏子「先ほどから何なのです、貞明様。
   人を試すようなおっしゃりよう、不愉快です。
   あらぬことで中傷を受け、猜疑に駆られるのもわかりますが、
   いじけるのもたいがいになさいませ。」
貞明「は?いじけ・・・」
綏子 よくお聞きなさい貞明様。
    私は、あなたを裏切ったりはいたしません。
    それだけ、肝に銘じておいてくださいますように。

翌朝、牛車で戻る貞明は、車の中で筆をとった。

「筑波嶺の みねより落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる」

 あるかないかの想いでさえも つもりつもって
 今はもう きみのことが
 とても 愛しい




ここから感想です。
この歌は、うた恋い。を読む前から、
言葉の響きが好きで覚えていた歌でした。

こんな素敵な後衣の歌として詠まれたものだと思うと、
なんだか改めて愛着が沸きます。

ですがこの回、胸に響くのは綏子の言葉です。
浮気を進める貞明に答える、「はい、あなたと。」の言葉。
貞明は改めて、綏子を好きになったに違いありません。
この時代に、こんなに前向きに考えることができたのかどうかはわかりませんが、
運命に迷わされない強さ、みならいたいものです。

本の紹介と、ほかのお話はこちら↓
 うた恋い。全体感想
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