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2012
12.17

うた恋い。2 和歌物語一(ネタバレあり)

Category: 古典もの
今日の一冊:超訳百人一首 うた恋い。2(本棚から)

和歌物語 一

うた恋い。2巻の最初のお話です。
主要人物は、うた恋い。1巻の最初に出てきた、六歌仙の一人の在原業平(ありわらなりひら)。
もう一人が、業平と同じく六歌仙の一人の文屋康秀(ふんやのやすひで)。
この話は、二人と当時更衣として天皇の寵愛を受け、
絶頂にあった小野小町(おののこまち)との出会いの話であり、
また、業平と康秀との友情話です。

業平は平安一のプレイボーイと名高く、伊勢物語のモデルにもなった有名人。
一方康秀は、あまり聞いたこともなく、業平とはずいぶんと身分も隔たっていたようです。

二人はそうそう仲良くなるような機会はなかったのではと思いますが、
小野小町と3人で旅に出たりと縁は深かったようでで、
この話は、業平の複雑な胸中が見え隠れして、
なんだか人情味あふれる感じが好きです。

この後、ネタバレ中身紹介です。

本の紹介と、ほかの話へのリンクのページはこちら↓
 うた恋い。2 全体感想


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ふくからに 秋の草木の しおるれば むべ山風を あらしというらむ
                           <文屋康秀>

小町の別荘で、歌に興じる3人。
お題は「月」。何を思うかと問われれば、
業平はかなわぬ恋のわびしさを、と。
つれないと責めるばかりで掴んでくれないと月が恨んでいるかもと小町が答えると、
当たって砕ければ回ってくるかも、「つき」だけに、とダジャレで答える康秀。

殿上人の二人とともに康秀が集まることになったきっかけは、
業平と康秀が出会った、前の日に行われた歌の会だった。
お題は紅葉。

「草も木も 色かわれども わたつうみの 波の花にぞ 秋なかりける」
  秋だ紅葉だと騒いでいるけれど波の花は白といつも決まっていて
  海には秋もなにもあったものじゃない

と、紅葉がお題なのに「秋なし」とは、と、
康秀が詠って笑いをとると、業平は、

「植えし植えば 秋なき時や 咲かざらむ 花こそ散らめ 根さえ枯れめや」
  秋がない年菊は咲かないのだろうか
  そんな年はないからきっと毎年美しく咲く
  あなたが心を込めて植えたからこそ
  花は散っても根まで枯れることはないのだから

と、かえし、周りの拍手喝采を浴びる。

身分も高い上に容姿もよくて、うまい和歌も詠める。
身分が違うだけでこんなに立場が違うとは。。。
それにしてもなんでこんなにからんでくるのか、と康秀が思っていると、
康秀が業平の悪口を言っていたのが聞こえていたからだという。

これ以上、殿上人に目をつけられて、昇進を妨げられては困ると、
宴が終わった後に、土下座して謝る康秀に、
業平は、悪いと思うなら付き合えといい、
2人で小町の別荘に忍び込むことになった、というわけだった。

場は改めて小町の別送に。
小町の、「なぜ歌の道を志したのか」、という問いに、康秀が素直に答える。
後ろ盾もなく裕福でもない自分が学問を追及するのは難しいが、
歌ならばその才能だけを評価してもらえるのではと思った、と。
身分の違う二人には分からないことだろうと思ったが、
二人は、神妙にうなづいている。

小町も、しがらみばかりの世の中で、自分が自由になれる場所を、
私たちは歌の中に求めているのだろう、という言葉を聞いて、
人もうらやむ二人であっても、窮屈な人生で、
自分と同じように、疲れているのかもしれないと気づくのだった。

業平と二人の帰り道。
技巧にこってばかりいないでもっと自由に詠え、という業平に康秀が答える。

「それはあなたの立場だから言えることでしょう。
 私のような底辺の人間はね、上の顔色をうかがわないと生きていけない。
 和歌だって、あなたのように自由に叙情を詠う余裕なんてない。
 権力を気にすることをさも下品なことのようにあなたは言いますが、
 あなたが心のままに和歌を詠めるのは自分が恵まれているおかげだって
 ちゃんと分かっているんですかね。」
「だからなんだ。
 お前らに合わせて卑屈になれとでもいうのか。」
「まさか!
 ようは分かっていればそれでいいんです。
 あのね業平殿。
 あなたはすばらしい感性を持っていらっしゃる。
 そして、それを生かすだけの環境がある。
 その幸運にちゃんと気づいて欲しいんです。
 それを幸せに思って良い和歌をたくさん詠みなさい。
 きっとそれはあなたにしかできないことです。
 そして境遇に恵まれなかった私は私で、私にしか詠めない和歌がある。
 誰にもまねできない私だけの和歌・・・私そのものです。
 そのことさえ分かっていればしがらみに埋もれることはない。
 それこそが和歌の、心の自由です。」

小言を言われてなえた業平が、
風当たりが強いから山に逃れてきたのに、と言ったとたん、
康秀が思いついたのが例の歌。

「ふくからに 秋の草木の しおるれば むべ山風を あらしというらむ」

 見てみて。
 風メッチャ強くて草木なぎ倒されてんじゃん。
 だから「山」に「風」で「嵐」っていうんじゃね?

特に何も意味はない。うまいことをいいたいだけで作った歌を聞き、
君の歌はただのテクニック自慢だ、といいつつも、
私にはとても真似できないよ、と認める業平と、
並んで康秀も歩いていく。
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